竹内アンナ、ルーツを探る

よくよく語学を学ぶ学生さんが、国際交流の場面で、外国との橋渡しをする存在になりたい。
と、将来の抱負を述べる場面を幾度か聞いたことがある。それ自体悪いことだとは思わないが、
それを口には出さずに、黙々と自らのセンスに則って、文化の面でやってのけているのが竹内アンナではないだろうか?

異国のリリック教則に載せた和製ポップス、音楽性はいかにもアメリカのものである。
そう感じられた諸兄が多いことと思う。

JPOPに迎合しない曲作りといったらいいのだろうか、
基本路線は、リズムを活かしたグルーブ感を前面に打ち出した音楽だと思う。

at ONE に収録されている「Ordinary days」は、デビュー当時のテイラー・スイフトを連想させる清流が流れるような透明感。
日本語と英語の発音の違いかもしれないが、強い音の響きが感じ取れない、鳥のさえずりのような優しい声色。

at THREEに収録されている 「Rythm Nation」、前回紹介した「生活」、Full Album MATOUSICに収録されている「20-Twenty-」
が、彼女のルーツをよく表している。よく聞いてほしい。ここが源流だ。

弾き語りにおいては、弦を叩くことによる、パーカッシブなアクセントを用いた奏法、
ビート感を強調するストローク、ベースとドラムのリズム感を大切にした曲作りが竹内アンナの代名詞だ。
流れるように言葉がポンプアップし、曲の疾走感を駆り立てる英詩のラップ、ウィスパーを連想させる、か細い声色、英詩の叫びの使い分け。
多彩な表現が、彼女が影響を受けてきた音楽の変遷の奥の深さを感じさせる。

アレンジにおいても、アメリカの朝もやの街を思わせる金管楽器のジャズっぽい響き、
語感に韻を踏む歌詞の登用など、ブラックミュージックの影響を色濃く受けていることが想像できる。
ウォーキングベースを連想させる演奏と、弦をアタックするノイズで醸すリズム感など、アコースティックアレンジが多彩である。
また、KPOPにも造詣が深い。

今年の秋も行われるであろうアトリエカフェツアー、まだまだモノトーンのコスチュームに身を包んだアコースティックな竹内アンナから目が離せない。