3月26日

中国は、急激な経済発展の中、国際社会においても発言力が重要視されるようになり、より近代的な社会統治の民主化が期待されるところが大きいが、自らリーダーシップを発揮して、世界を動かしていこうという取り組みは、日本が見習うべきことが多かろうと考える。

スウェーデンの地理学者ヘディンが著した旅行記のタイトルの英訳が『The Silk Road』とされて以来、中国西方から地中海へ向かう交易路を「シルクロード」と呼ぶようになったとか…。
シルクロード経済ベルトは、シルクロードを軸に、アジア、中東、地中海沿岸地域にまでを含む経済連携を目論む構想で、
米中の貿易摩擦で、冷え込みを感じ始めた市場にとって、歓迎すべきホットニュースに感じるのではないだろうか。

トランプ大統領の掲げる「アメリカファースト」の断行が、TPP(環太平洋パートナーシップ連携協定)の交渉テーブルからアメリカを孤立させたのが数年前。
経済の問題が、新たな火種となってアメリカと中国の間にくすぶることとなった。
米中貿易摩擦は、アメリカの主張する不公正貿易ととらえるか、中国経済の躍進による不可避の結果ととらえるかは、人それぞれであるが、
それに巻き込まれる形で、世界経済の冷え込みの影響を受けているのは、EUやアジアだけでなく、発展途上の各国においても警戒される悩みの種である。

そんな中、中国は貿易における新たな活路を、一帯一路構想の中に見出した。
なんとも、ロマンを感じるネーミングで、親しみやすい特徴がありはしないか…。少し、肩を持ちすぎかもしれないが…。

保護主義的な米国経済外交政策と、革新的で柔軟な中国の経済政策の対比が見て取れるが、各々の国の思惑が見え隠れするのも事実ではある。
国内の主要な製造業が、母国を離れ、海外へ移転していくことでアメリカは疲弊していった。
一方で、世界の工場と呼ばれ、家電やスマートフォンなど、世界の経済をけん引するアイテムの生産を支えてきた中国は、そこで得たノウハウと利益を
自国の国益にかなう産業の発展に再投資してきた。そんな中で力をつけてきたのが、華為技研やハイアール。
政府との結びつきも強いとのうわさも流れるが、一方で、自由貿易を模索する中国の政策の在り方は一定の評価をすべきではないだろうか。
アメリカの言い分を聞かないというのではなく、過度にヒートアップした感情をぶつけ合うのは両国にとって国益にかなうものではないだろう。

日米二か国間の貿易協定の協議が行われるとの話も聞くが、政治で譲歩したり、注文を付けた結果が、経済への跳ね返りとなって返ってくるような関係であってはならない。
お互いのメリットが、各国を巻き込むような、世界にとって歓迎されうる交渉の場であってもらいたいものである。